月経前症候群(PMS)月経前不安気分障害(PMDD)の症状
月経前症候群•月経前不快気分障害(以下PMS•PMDDと表記します)は大きく二つの症状 1.こころの不調 2.身体の不調に分けられ、PMSの中でこころの不調が強く出るものをPMDDと言います。
1.こころの不調
•イライラする
•泣きたくなる
•ボーとする
•怒りっぽい
•情緒不安定になる
•憂鬱な気分になる
•落ち着かない
•常に緊張した感じになる
•身近な人に八つ当たりしてしまう
•集中できなくなる
2.身体の症状
•頭痛、頭が重い
•乳房の張り、痛み
•下腹部の張り
•腰痛
•過食または食欲不振
•体重の増加
•眠気または不眠
•疲れ、だるさ
•肌荒れ、吹き出物
•むくみ
•のぼせ
結論から申し上げると、このPMS•PMDDで出る各種症状に対して、鍼灸治療は高い改善効果があります。
まずはこのPMS•PMDDの西洋医学から見た原因と治療を見ていきましょう。
西洋医学から見た原因
このPMS•PMDDは西洋医学では女性ホルモンである、エストロゲンとプロゲステロンの急激な変動が関係していると考えられていますが、西洋医学的なメカニズムはまだ解明されていません。
西洋医学から見た症状が重くなる原因
•ストレス
•性格的傾向(律儀、真面目、完璧主義など)
•喫煙
などが症状を重くすると言われています。
西洋医学での治療
西洋医学では明確な原因がわかっていないため、PMS•PMDDで出てくる各症状を抑える薬が処方されます。症状が強い場合などは低用量ピルが処方されるケースもあります。
しかし、根本的な原因がわかっていない以上、根本的な治療には繋がらず、ピルなどの合成ホルモン剤は本来ご自身の身体でするべきであるホルモンの分泌調整などを外部からの薬による調整に頼る形になるので当院ではおすすめしておりません。
東洋医学から見た原因
では、東洋医学から見たPMS•PMDDの原因についてご説明をしていきます。
東洋医学から見ると、PMS•PMDDで出る症状は、肝気鬱結(かんきうっけつ)という状態が原因です。
この肝気鬱結という聞き慣れない東洋医学の言葉ですが、この言葉をご説明するにはまず東洋医学から見た肝臓の働きを説明する必要があります。
東洋医学から見た肝臓の働き
肝臓は東洋医学の中でも肝心要と言われるぐらい大切な役割を持っています。
役割はいくつかあるのですが、一つ大きな働きを持っており、それが肝は疏泄を主る(かんはそせつをつかさどる)という働きです。
東洋医学の専門用語なのでちょっと取っ付きにくい言葉ですが、主に四つに分けられます。
①全身の気(エネルギー)のめぐりを調整する
②消化器の活動を調整する
③精神活動を調整する
④生殖活動を調整する
そしてこの肝臓の四つの働きはストレスで容易に悪くなってしまいます。
この四つの働きが悪くなることでこの文章の上で書いた各症状が出てきてしまうのです。
つまり、
①全身の気の巡りを調整する働きが悪くなり、気のめぐりが悪くなると、それに伴って肝臓に関係する※経絡(けいらく)が走っているところの気と血液が渋滞し、頭、乳房、脇腹、下腹部、腰などに張りや痛みが出てきます。
※経絡とはツボが電車の路線のように繋がり、内臓や器官をつなぐものです。
②消化器の活動を調整する働きが悪くなると、異常な食欲が出たり、逆に食欲不振になったり、それに伴って体重が増加したりします。
③精神活動を調整する働きが悪くなると、眠気が出るまたは不眠、イライラ、泣きたくなる、抑鬱、いつも緊張した感じなどの神経とこころに関係する症状が出ます。
④生殖活動を調整する働きが悪くなると月経を調整する働きがおかしくなるため、PMS•PMDDの症状以外でも生理痛、月経不調などの症状が出ます。
これら肝臓の四つの働きが悪くなることを東洋医学では肝臓の気が固まるという意味の肝気鬱結(かんきうっけつ)と呼んでいます。
そしてなぜ生理前にこれらの症状が強く出るのかですが、生理前は身体の気と血液が生殖活動を調整する肝臓に集まります。その時に肝臓の気と血の巡りが良ければ症状は特に出ないのですが、巡りが悪ければ気と血が渋滞し、肝臓の機能をより悪くしてしまうんです。
この悪くなってしまった肝臓の働きを正常化させるのに鍼灸治療は極めて効果的です。
鍼灸治療の優位性
東洋医学に基づいた鍼灸治療はなぜPMS•PMDDに効果的なのでしょうか?
それは西洋医学のお薬ではPMS•PMDDの症状を抑えることにフォーカスしますが、東洋医学では患者様一人一人の体質を考慮しつつ、今の身体の状態を、東洋医学に基づいた問診などで丁寧に把握し、身体に起こっている不調を根本的に改善していくことが可能だからです。
ライフスタイルの改善
またPMS•PMDDは患者様の日々の生活を整えていくこともかなり需要になってきます。
①睡眠時間はたっぷりとる(平日も6〜8時間)
②バランスの良い食事をよく噛んでとる
③適度な運動習慣を身につける
③禁煙(喫煙は毛細血管を収縮させ、血流を悪くします)
④日記をつける
②バランスの良い食事をよく噛んでとる→まず甘いもの、脂っこいもの、刺激物を控えます。これは甘いものと脂っこいものは気や血液の流れを悪くしますし、刺激物(辛いもの)は特にイライラするタイプの症状が出ている方は、食べたその時はスッキリしたように思いますが、肝臓に熱がこもり、イライラの症状が出やすくなるため控えるほうがいいです。
③適度な運動は身体の気と血液の巡りをよくし、溜まっているストレスを軽減し、精神にもいい影響を与えます。お散歩などから始めてみましょう。
PMS•PMDDの原因、肝気鬱結は日々のストレスが大きな原因となります。
当院では患者様自身が日々のストレスとうまく付き合えるように、治療以外のこともサポートをさせていただいております、諦めずに一緒に治療を頑張っていきましょう!
人によっては日常生活を送るのに支障をきたすこともあるPMS•PMDD。これまで女性に生まれたのだから仕方ないと我慢してこられた方も多いことと思います。
毎日の辛い症状、一人で悩まずに、ぜひ当院にご相談ください!お待ちしております。
